指定難病:診断基準・重症度分類
診断基準
(1) 症状
- 頭蓋 頭蓋縫合早期癒合、水頭症、キアリ奇形
- 顔面 眼球突出、斜視、上顎骨低形成、上気道閉塞、後鼻孔狭窄/ 閉塞、外耳道狭窄/ 閉鎖、伝音性難聴
- 頸部 脊髄空洞症、環軸椎脱臼、頚椎癒合、喉頭気管奇形
- 四肢 臨床上の表現型において指趾の異常はないことが原則であるが、橈尺骨癒合や表現型の異なる亜型が存在する。
- 精神運動発達遅滞を認めることがある。
(2) 検査所見
- 画像検査所見
単純頭部 X 線写真、 CT、MRI、脳血流シンチグラフィー、頭部 X 線規格写真、オルソパントモ写真などで頭蓋内圧亢進、頭蓋縫合早期癒合、顔面骨の低形成を認める。 - 眼科的所見
視力、眼球突出度、両眼視機能、眼底検査などで頭蓋内圧亢進、斜視、眼球突出を認める - 耳鼻科的所見
単純頭部 X 線写真、 CT、ポリソムノグラフィーなどで上気道閉塞を認める。聴力検査、CT、鼓膜所見などで滲出性中耳炎、外耳道狭窄/ 閉鎖を認める。
(3) 遺伝学的検査
ほとんどが FGFR2 の Ig Ⅲ a/c ドメイン(エクソン 7-9)に集中している。また、皮膚に黒色表皮症(acanthosis nigricans)を伴うクルーゾン症候群では、FGFR3 遺伝子の transmembrane domain に異常(FGFR3:Ala391Glu)が認められる。
重症度分類
以下のいずれかを満たす場合を対象とする。
- modified Rankin Scale(mRS)、食事・栄養、呼吸のそれぞれの評価スケールを用いて、いずれかが3以上。
- 視覚障害: 良好な方の眼の矯正視力が 0.3 未満
- 聴覚障害: 高度難聴以上
引用:
「症候性頭蓋縫合早期癒合症(クルーゾン / アペール / ファイファー / アントレー・ビクスラー症候群)に対する治 療指針の作成および新規治療法の開発に関する研究」
( 研究代表者 神奈川県立こども医療センター形成外科 部長 小林眞司)